ぽこぽこうんぽこ

誰かチャンスをください。頑張って自分なりに小説を書いています。

リクルート登録したら取引先の会社出てきて気まずくて退会した。

 リクルート登録したら取引先の会社出てきて気まずくて退会した

 

 会社の愚痴なんかを言うとすぐに転職を考えるようになってきた。

ブラック企業、会社がつらい、鬱になったなんて言うとすぐにインターネットの連中は無責任に転職を勧めてくる。

 「もっとホワイトな職場は探せばいっぱいあるよ」「同じ年収でもっと休めるよ」「同じ勤務条件でもっと給料がもらえるよ」「フレックスだよ」「即管理職だよ」「フリーランスもあるよ」

 事実、周りにも転職していった人間はいくらかいる。自分が彼らほど職場に対して思いつめていることがあるのかと、今一度考えるためにもそして転職が何かを少しでも肌で感じるためにも登録してみたりした。

 

 就職はガチャだということわざが示す通り、勤務条件に書いてある文字や数字なんかに意味はない。これは新卒の際も、転職の際も同じだ。会社に実際に働いている人間の会社評価が各転職サイトでいくらか見れる。ボロクソに愚痴っているものもあればこれほど労働者にとって最適な環境はないぞと褒め殺すものもある。

 本当なのかもしれないし、嘘なのかもしれない。インターネットの評価なんてのは全部サクラだと思って対応した方が良い。デジタルネイティブ世代としての弊害であった。

 少しは疑うのをやめて素直に評価を受け止め行動に移した方が良いのかもしれない。結婚をした先輩もノリと勢いで子どもを作ったせいで俺はもう一つの国に金を吸い上げられ続けていると言っていた。その先輩は今では何故かゴキブリがすげえ出てくる別宅を借りて家族とは別暮らしをしているらしい。そんぐらいの甲斐性無しで後悔するのも見えているだろうことは明らかなのに、こういった勢いで行動を移す際には少しバカになる必要があるのかもしれない。

 転職というと、リクルートマイナビとかいろいろ出てくる。そこに自分の経歴を登録するとその経歴を欲しがっている会社のリストを送られてくる。ユーザーにはエージェントという斡旋業者の担当がつく。自分のいる業界自体が万年の人手不足なので引く手あまた、ただし3Kをなぜか業界全体が堂々と謳っているクソみたいな業界だった。こんな業界同士で転職の取り合いをしても仕方がないと思うのだけれども、それでも若く最低限の資格を持っているだけで、嘘みたいな大企業のスカウトに加え、中小企業からは直接採用面接のようなメールが飛んできた。

 その中には自分が現職で対応している業者も含まれており、今後ここの会社の人と会うときどうすればええねんと、会社から逃れるための転職サービスの筈がより一層自分の会社とこの業界の関係を見せられてしまう運びとなった。

 自分の会社に嫌気がさしていることは間違いない。そんな自分のスキル、経歴に興味を持って直接指名まで言われているんだから気分は悪くない。

 ただ、その会社は自分の会社が仕事を依頼する会社だった。つまりは自分が今働いている下の立場の会社だった。

 転職とは自分が働いている現在の会社よりも良い環境の会社に行くことを指していると思っていた。仕事をしているときにそれらの会社と接する際、互いにリスペクトができていると思っていた。相手に不満が無いように立ち回っているつもりだった。他の同僚よりも相手から慕われていると思っていた。そんなつもりであったのにも関わらずその下請け業者からの指名のメールは迷いなく削除した。

 

 誰もが知る大企業とそんな下請けで細々とした会社との比較なんてのはできるはずがなかった。高給取りでたくさん休みを貰っている会社がどこかにある。ホワイト企業という幻を追い求めていたはずが、見栄えだけの外面だけの情報で選択をしている。

 転職はガチャだ。高給取りであるが死人が出ては補充されることの繰り返しであるような仕事、安月給ではあるがみんながのんのんと働いている、あるいはその逆、両方がある。ノーマル、レア、スーパーレア、ウルトラレアのような分け方がされる。もちろん上のランクに行くのは難しい。ただ、ウルトラレアの中でも更に上中下のようなランク分けがされていく。ウルトラレアの中でも使えないものがある中、ノーマルでも最前線で戦えるようなカードはいくらでもあると思っていた。

 レア度というフィルターをかけて社会を見てしまったとき、自分の職場の良さに気づいた。それは働いていくうえで必要な良さではなく、対外的な外面の良さだった。外面の良さ、それはレビューで☆が多いことは良いことを指している。

 デジタルネイティブ世代がために転職という行動に移されることはなかった。リクルート始め、レビューサイト、加えて必要なことはインターネットが教えてくれた。差別的な思想を持っていたとしても、外面は良くしておかないといけない。相手方もその話を直接自分にしてくることはない。仮面を被って今日や明日をやり過ごしている。野球選手のような大きな夢を持つことはなくても、ホワイトを夢見てYoutubeで格闘技や料理や猫の動画を見る。青から白に移ろうとする。青の苦労は白にはないが、白の苦労も青にはない。隣の芝生は青い。隣の塀はかっこいい。狭い同じ業界の他所と比べることでしか此処の評価ができない。そしてそんな評価に意味はない。

 井の中の蛙は大海を知らないがドブの汚さも知らない。ただの蛙でいられるなら、知る必要も知る方法もないから。

 

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 やたら転職というワードがポジティブにとらえられているけれど、やらんでいいなら終身雇用よろしくの新卒入社の会社にしがみついた方が良いに決まってる。何より楽だから。